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これってパワハラ?6つのタイプと解決策、退職する判断基準を解説

パワハラの6つのタイプと解決策|相談窓口や退職する判断基準も解説
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職場で働いているなかで、

上司や先輩などから、ひどい仕打ち(パワハラ)を受けている

という方も多いでしょう。

実際のデータとして、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は増え続けています。

ただ、パワハラに関しては、

これはパワハラにあたるのだろうか?

パワハラだとしても、どうやって解決すればいいの…

上記のように、悩んでしまう点が多いですよね。

この記事では、職場のパワハラで悩んでいる方に向けて、パワハラの解決手順や相談窓口、辞めるかどうかの判断基準などを解説しています。

かつて企業の人事部・法務部に在籍して、様々な労務問題を扱ってきた筆者が、わかりやすくご説明していますので、ぜひ参考にしてください。

目次
この記事の監修者

やまもと社会保険労務士事務所
代表 山本 務

50代男性、東京都在住。大卒後はSE、人事労務業務に従事し、社労士試験合格後に50代で社会保険労務士として独立。元労働局総合労働相談員。労働相談、人事労務管理、就業規則、電子申請、給与計算が得意です。【特定社会保険労務士

パワハラとは?

ひと言で「パワハラ」と言っても、いったいどのような行為を指しているのでしょうか?

まずは、パワハラの基本的なことを確認しておきましょう。

職場でのいじめやパワハラは増え続けている

近ごろでは、職場でのいじめやパワハラが増えています。

それは多くのデータに表れており、たとえば労働局への個別労働紛争の相談内容では、2013年以降は「いじめ・嫌がらせ」が相談件数のトップです。

◆個別労働紛争のおもな相談内容

このような状況のなかで、2019年には「パワハラ防止法」が成立して、法律でパワハラ防止を会社に義務付けるまでになりました。

「パワハラ防止法」におけるパワーハラスメントの定義

「パワハラ防止法」において、職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。

パワハラの3要素
  • 優越的な関係を背景とした言動である
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものである
  • 労働者の就業環境が害されている

「優越的な関係」とは、職務上の地位のほかに、人間関係や専門知識、経験など、さまざまな優位性が含まれます。

そのため「上司から部下」だけではなく、「先輩・後輩の間柄」や「同僚どうし」、「部下から上司」といったこともあり得るのです。

ただ、業務上の注意や指導に不満を感じた場合でも、「業務上の適正な範囲」で行われていれば、パワハラには該当しません。

パワハラの具体的な内容については、後ほど詳しくご説明します。

パワハラ・セクハラ・マタハラは「職場の三大ハラスメント」

最近では、パワハラ・セクハラ・マタハラが「職場の三大ハラスメント」といわれています。

職場の三大ハラスメント
  • パワハラ(パワーハラスメント):
    業務の適正な範囲を超えて、精神的・肉体的苦痛を与える行為
  • セクハラ(セクシャルハラスメント):
    相手方の意に反する性的言動、性的な嫌がらせ
  • マタハラ(マタニティハラスメント):
    妊娠・出産育休などを理由とする解雇などの不利益な取扱い

「パワハラ防止法」ができたことで、「職場の三大ハラスメント」への会社の対策については、すべて法律で義務化されました。

セクハラ、マタハラについても、2020年の法改正によって、防止対策のさらなる強化が図られました。

働くうえでのハラスメントは他にもある

働くうえでのハラスメントとして、他にも以下のようなものが問題視されています。

その他のハラスメント
  • モラハラ(モラルハラスメント):
    社会的に優位に立っていない者が言動や態度によって、相手に精神的苦痛を与える行動や態度のこと
  • パタハラ(パタニティハラスメント):
    男性が妻の出産や育児への参加することを妨害する行為
  • ケアハラ(ケアハラスメント):
    働きながら介護を行う必要があることを理由に受ける不利益や嫌がらせ
  • ジェンハラ(ジェンダーハラスメント):
    男性的・女性的といった固定的な概念に基づき、行われる強要などの嫌がらせ

このように、嫌がらせ行為を法律で取り締まる必要があるほど、

多くの職場でハラスメント(嫌がらせ)が起こっている

という現状があるのです。

「職場でのパワハラ」には6つのタイプがある

パワハラの定義を見ただけでは、実際どのようなことがパワハラにあたるのか、イメージしづらいかもしれませんね。

ここでは、厚生労働省が掲げている「職場でのパワハラ」に該当する6つの分類を、具体例を交えてご紹介します。

パワーハラスメントの6つのタイプ
  • 身体的な攻撃
    蹴ったり、殴ったり、体に危害を加える
  • 精神的な攻撃
    脅迫や侮辱、名誉毀損、ひどい暴言などの精神的な攻撃を加える
  • 人間関係からの切り離し
    仲間外れや無視、隔離など、個人を疎外する
  • 過大な要求
    誰がやっても出来ないような、遂行不可能な業務を押し付ける
  • 過小な要求
    業務上の必要がないのに、能力や経験とかけ離れた「程度の低い仕事」を命じたり、本来の仕事を取り上げる
  • 個の侵害
    私的なことに過度に立ち入る、個人のプライバシーを侵害する

あなたの職場で起きているパワハラが、どのタイプに該当するのかを確認しておきましょう。

身体的な攻撃

出典:明るい職場応援団|厚生労働省

「身体的な攻撃」とは、

蹴ったり、殴ったり、体に危害を加える

このようなパワハラのことを指しています。

具体例
  • 火のついたタバコを投げる
  • 足で蹴る
  • 胸ぐらをつかむ、髪を引っ張る
該当しない例
  • 誤ってぶつかってしまう

精神的な攻撃

出典:明るい職場応援団|厚生労働省

「精神的な攻撃」とは、

脅迫や侮辱、名誉毀損、ひどい暴言など精神的な攻撃を加える

上記のようなパワハラのことです。

具体例
  • 同僚の前で大声で叱責する
  • 人格を否定するようなことを言う
  • 客の前で「バカ、ボケ、カス」と言う
該当しない例
  • 遅刻など繰り返し、何度注意しても改善されない社員に、ある程度強く注意する

人間関係からの切り離し

出典:明るい職場応援団|厚生労働省

「人間関係からの切り離し」とは、

仲間外れや無視、隔離など、個人を疎外する

このようなパワハラのことを指しています。

具体例
  • 一人にだけ必要な書類を配布しない
  • 一人だけ忘年会に呼ばれない
  • 仕事から外して、別室に隔離する
該当しない例
  • 新規採用者育成のために、短期的に別室で教育を受けさせる

過大な要求

出典:明るい職場応援団|厚生労働省

「過大な要求」とは、

誰がやっても出来ないような、遂行不可能な業務を押し付ける

上記のようなパワハラのことです。

具体例
  • 終業時間直前に、毎回過大な仕事を押し付ける
  • 休日出勤しても終わらない業務を、強要する
  • 故意に、仕事の指示を何度も変更する
該当しない例
  • 社員の育成のため、少し高いレベルの業務を任せる

過小な要求

出典:明るい職場応援団|厚生労働省

「過小な要求」とは、

業務上の必要がないのに、能力や経験とかけ離れた「程度の低い仕事」を命じたり、本来の仕事を取り上げる

上記のようなパワハラを指しています。

具体例
  • 仕事とは関係のない雑用を強要する
  • 私物の買い物をさせる
  • 技術職なのに、流通部門で梱包の仕事をさせる
該当しない例
  • 社員の能力に応じ、業務量を軽減する

個の侵害

出典:明るい職場応援団|厚生労働省

「個の侵害」とは、

私的なことに過度に立ち入る、個人のプライバシーを侵害する

このようなパワハラのことを指しています。

具体例
  • 携帯電話や、ロッカーなどの私物をのぞき見する
  • 個人の宗教を同僚の前で言いふらし、悪口を言う
  • 交際相手の有無を聞き、過度に結婚を奨励する
該当しない例
  • 社員への配慮を目的に、家族の状況などを聞く

「パワハラ防止法」でパワハラは解決されるのか?

お話ししてきたように、会社によるパワハラの防止が、法律で義務付けられました。

ここでは、「パワハラ防止法」について解説し、パワハラが解決されるのかどうかを考えていきます。

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)とは

「パワハラ防止法」とも呼ばれる改正労働施策総合推進法が、令和2年6月1日より大企業を対象に、中小企業にも令和4年4月1日から施行されました。

この「パワハラ防止法」によって、パワハラ対策を行うことが会社の義務となったのです。

職場におけるハラスメント防止対策の強化(中小事業主は令和4年4月よりパワハラ防止措置の義務化)

令和元年6月5日に女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました(令和2年6月1日施行)。
本改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となり、中小事業主においては、令和4年4月1日よりパワーハラスメント防止措置が義務化されます。(それまでは努力義務)

出典:新潟県 産業労働部

法制化したことで、

  • パワハラが具体的にどのような行為を指すのか?
  • 会社は具体的にどのような対策をすべきなのか?

このようなことについて、厚生労働省が指針を公表して明示しています。

以前から、パワハラは問題として認識されていましたが、

企業としてどう対処するべきなのかな…

このように、これまでは不明確な面もありました。

しかし法制化によって、企業が取るべき対策が分かりやすく示されたので、パワハラ防止対策は、今後は進んでいく可能性が高いでしょう。

会社が行うべき7つのパワハラ対策とは

厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」では、会社が行うべきパワハラ対策(雇用管理上の措置)として、以下の7つを挙げています。

会社が行うべき7つのパワハラ対策
  • 会社トップが、パワハラ防止に取り組むことを明確に発信する
  • 予防や、解決に向けたガイドラインを作成する
  • 社員アンケートなどを実施して、現状を把握する
  • 社員や管理者への、教育のための研修を行う
  • 会社の方針や、取組内容について周知を図る
  • 苦情などに対する、相談体制を整備する
  • 再発防止のための取り組みを行う

このような対策を行わない会社に対しては、次項でご紹介する罰則が適用されるようになります。

パワハラ対策を行わない会社への罰則とは

  • パワハラ対策を行わなかった
  • 適切な措置を取らなかった

上記に該当する会社に対しては、是正指導がおこなわれます。

ただ、指導されたことを行わなかったとしても、現在のところ罰則はありません

それでは効果がないのでは…

このような声が出ているのも事実です。

ただ、パワハラが常態化して改善が見られないなど、悪質な企業に対しては、

会社名を公表します

としています。

人手不足が進んでいる現状で、悪質な企業として公表された会社は、

いや、この会社はちょっとナシでしょ…

こんな感じで、とくに若者から敬遠されていくでしょう。

そういったリスクを避けるためにも、「会社名の公表」を嫌がる企業の多くが、パワハラ対策を進めていくはずです。

その結果として、職場のパラハラが解決される方向に進むことが期待されます。

パワハラを解決する手順と相談窓口

あなたが受けている仕打ちが、前述のパワハラに当てはまった場合。

どうするべきなのか、パワハラの解決策をご紹介します。

相談窓口はいくつかあるので、あなたが相談しやすいと思うところを選んでみてください。

「自分が悪い」と思い込まないこと

職場でパワハラを受けたときに、まず何よりも大切なのは、「自分が悪い」と思い込まないことです。

パワハラの多くは、職場に何らかの原因があって発生しています。

その原因によって、複雑に問題が起こってしまい、誰かが加害者となり、あなたが被害者となってしまっているのです。

つまり、被害者となっている人に問題があるわけではなく、

誰もが被害者にも加害者にもなりうる問題である

といえるでしょう。

そしてパワハラを我慢していると、

自分が悪いから、このような仕打ちを受けるのかもしれない…

上記のように思ってしまって、精神を病んでしまうなど、問題がより深刻化してしまうのです。

そうなる前に、できるだけ早い段階で窓口に相談しましょう

問題が小さいうちに対処をすれば、解決もしやすくなります。

パワハラの内容を記録・録音・録画しておく

職場でパワハラを受けたときは、具体的に受けた行為を記録することも重要です。

いつ / どこで / どんなことをされた(言われた)のか?

上記についてメモに残しておき、あとで窓口へ相談する際の資料として使いましょう。

ただ、パワハラの内容をメモしておくだけだと、相談時の資料にはなりますが、相手方の言い分もあるため、客観性には欠ける部分もあります。

パワハラの証明として確実な証拠を残したい場合は、パワハラをされているところを録音・録画するようにしてみましょう。

無断で録音・録画したデータでも証拠になるの?

こっそり無断で録音したデータでも、ちゃんと証拠になるのかな…

このように心配する人もいるかもしれませんが、民事裁判ではパワハラの証拠として、無断録音・無断録画のデータは過去に認められています。

民事訴訟では、原則として「証拠能力」には制限がなく、どのような物であっても、証拠とすることができます。したがって、秘密に行われた録音であっても、証拠になります。

このことは、労働問題でも同様であり、労働審判や訴訟などで争われる、パワハラ、セクハラの慰謝料請求、不当解雇を争う地位確認請求、未払残業代請求などは、民事訴訟ですから、録音を証拠とすることができます。

出典:労働問題弁護士ガイド

ただし、録音・録画データは相手方のプライバシーもあるので、関係のない他者に公開することが無いように、注意して取り扱わなければなりません。

あくまでも、パワハラの相談時などにのみ、録音・録画データを使用するようにしましょう。

無断で録音・録画したことを理由に、解雇される可能性は?

でも無断で録音した行為が就業規則違反となって、解雇されたりしないだろうか…

このような心配をする方もいるかもしれませんね。

しかし、パワハラの事実があるとすれば、証拠収集のために秘密で録音・録画することは、

会社の規範に反していたとしても、解雇理由には当たらない

という判決が、裁判所でも示されています。

録音で解雇は無効、女性勝訴 東京地裁

上司との労働交渉や職場の会話を無断で録音したことなどを業務命令違反に問われ、銀行を解雇された女性が解雇の無効を求めた裁判で、東京地裁(吉田徹裁判長)は11日、「録音は自己防衛の手段と認められ、解雇理由とするのは酷だ」と判断し、解雇は無効とする判決を言い渡した。

出典:毎日新聞(2016/4/11)

このように、たとえ秘密の録音であっても、パワハラの事実を証明するためのものであれば、「自己防衛の手段である」と裁判所が認めているので、解雇は法的に認められません。

社内の相談窓口に相談する

社内にパワハラなどの相談窓口がある場合は、その社内窓口に相談してみましょう。

厚生労働省の調査によると、2020年の時点で78.6%の会社に、パワハラ相談窓口が設置されています。

相談窓口の設置状況としては、「社内のみに設置している」が 63.8%、「社内と社外の両方に設置している」が 33.3%、「社外のみに設置している」が 2.9%であった。従業員規模が大きいほど、「社内のみに設置している」の割合が低くなり、「社内と社外の両方に設置している」の割合が高かった。

出典:職場のハラスメントに関する実態調査(令和2年度)|厚生労働省

社内窓口に相談した場合の対応

社内相談窓口でパワハラの相談があった場合、まずは事実関係の聴き取りが行われます

相談者の同意を得たうえで、行為者(パワハラをする者)や、場合によっては同僚などから話を聞くことも。

調査を行った結果、重大な人権侵害があった場合は、就業規則に基づいて行為者の処分が行われるのです。

当事者同士を引き離すために、配置転換が行われるケースもあります。

相談しても解決しないケースも多い

パワハラ対策については、世間的にもまだ始まってまもない状況なので、どの会社もどう対策すればよいのか、まだ手探りな状態といえます。

したがって、

  • 相談窓口があっても、解決するまでには至らない

このようなケースが多いのが実態です。

勤務先によるパワハラ、セクハラ行為の認定については、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」(パワハラ 59.3%、セクハラ 40.2%)の割合が最も高かった。

出典:職場のハラスメントに関する実態調査(令和2年度)|厚生労働省

労働組合・ユニオンに相談する

社内の相談窓口に相談したが、何もしてくれない…

社内の人には相談しづらい…

上記のような場合には、労働組合ユニオンに相談する方法があります。

労働組合とは、労働者と会社が対等な立場で、働く環境をよくするために交渉する組織です。

そして労働組合の強みは、「団体交渉権」を持っていること。

組合が交渉を申し込んだ場合は、会社は拒否することができません

パワハラの相談についても、この団体交渉の場で話し合いが行われて、問題の解決を図ることができます。

会社に労働組合がない場合はどうする?

会社に労働組合がない場合や、あってもほとんど機能していない場合は困りますよね。

また非正規雇用の社員で、

勤め先の労働組合には加入できないんだけど…

上記のような方もいるかもしれません。

こういった場合には、1人でも加入できる「ユニオン」に加入するという方法があります。

コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク

ユニオンとは、一定の地域・産業・管理職やパートといった職域で、企業の枠を超えた加入者で作られる労働組合のことです。

ユニオンの組合員が一人しかいない職場の場合でも、その会社に対して団体交渉を申し入れることができます。

労働組合・ユニオンに相談するメリット

労働組合やユニオンに相談するメリットは、

相談者も団体交渉に参加して、当事者として解決できる

という点が挙げられます。

外部の機関に相談した場合は、基本的に担当者が当事者の間に入って、双方の言い分を聞きながら解決を図ります。

しかし団体交渉では、相談者が行為者や会社側に自分の主張を述べて、相手の意見を聞きながら解決していくことができるのです。

本人の納得度も高くなりますので、

パワハラで自尊心を傷つけられたけど、もう切り替えよう…

こういった気持ちになれるでしょう。

ただし、組合によっては相談者を「主体」に置いていない場合もありますので、事前に確認しておく必要があります。

労働局の総合労働相談コーナーに相談する

社内でパワハラの相談がしづらいような場合は、外部に相談できる機関もあります。

公的な相談機関としておすすめなのは、国の機関である労働局の総合労働相談コーナーです。

各都道府県の労働局や労働基準監督署内など、全国の380ヶ所に設置されています。

総合労働相談コーナーに相談した場合の対応

総合労働相談コーナーでは、専門の相談員が対応してくれますし、面談のほかに電話でも相談することが可能です。

また、相談するだけではなく、以下のようなシステムも用意されています。

総合労働相談コーナーのシステム
  • 労働局長の助言・指導
    都道府県労働局長が、個別労働紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示唆することにより、紛争当事者が自主的に紛争を解決することを促進する制度
  • 紛争調整委員会によるあっせん
    当事者の間に紛争調整委員会が入り、双方の主張の要点を確かめ、場合によっては、両者が採るべき具体的なあっせん案を提示するなど、紛争当事者間の調整を行い、話合いを促進することにより、紛争の円満な解決を図る制度

いずれの場合でも、必要に応じて相談者と会社の双方から事情を聞いて、第三者として紛争の解決を促進する手助けをしてくれます。

そして、

会社側が何らかの対策を行うべきですね

上記のように判断された場合は、会社へ助言を行うのです。

労働基準法などの法律に違反していると考えられる場合は、行政指導をおこなう部署に取り次がれます

社員が「助言や指導」などの申し出をしたことを理由に、会社が解雇など不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています。

社内で相談するのが難しい場合は、いちど利用を検討してみてください。

会社に対する強制力があるわけではない

総合労働相談コーナーに相談して、「助言や指導」をしてもらったとしても、措置の実施を強制する効力は持ちません

また、あっせんに関しても、話し合いの中で提示されたあっせん案に対して、

  • 相談者と会社のどちらかが拒否をした
  • 当事者間の意見の隔たりが大きく、解決の見込みがない

上記のような場合には、あっせんの手続きは打ち切りになってしまいます。

つまり、会社側に応じる姿勢がなければ、

労働局で解決の手助けをすることはできない

ということです。

会社側がいっさい応じないという場合には、裁判所による解決を図るしか方法はありません

しかし裁判には、金銭的な負担や、解決まで時間がかかるといった問題もあります。

会社を退職する

  • 相談機関に相談したけれども、解決しなかった
  • 会社側が、あっせんに応じなかった
  • 心身ともに疲労してしまい、もう相談機関に相談する気力もない

このような場合には、会社を退職することを検討したほうがよいでしょう。

どういった場合に退職を検討するべきか、その判断基準については次項でご紹介します。

パワハラされる会社は辞めるべき? 判断する基準とは

パワハラを受けるような会社に、このまま残ってもいいのだろうか…

こんなふうに悩んでしまう人も多いでしょう。

ここでは、パラハラが起きた会社を辞めるべきか残るべきか、判断する基準についてご説明します。

パワハラの再発防止に動いてくれるかどうか

会社を辞めたほうが良いかどうかは、「パワハラの再発防止」に動いてくれるかどうかで判断しましょう。

  • 社内の相談窓口にパワハラを訴えた
  • パワハラを受けていることを上司に相談した

上記のようなアクションを起こしたときに、

話はしっかり聞いてくれたし、会社として何らかの対応をしようと動いてくれているようだ

このような会社であれば、そのまま残ってもよいでしょう。

社員の声をしっかり聞いて、より働きやすい環境を作ってくれるかもしれません。

ところが、上司に相談しても、

上司

君がもっと頑張ればいいだけだろう

こんなふうに取り合ってくれなかった。

あるいは、社内の相談窓口に相談した話がすぐに周囲に伝わってしまい、

嫌がらせがさらにひどくなったんだけど…

こんな状態になってしまった。

このような会社であれば、退職を考えたほうが賢明だといえます。

パワハラは社員の人権を侵害するもので、会社に対する業務妨害である

という認識を会社が持っていない証拠です。

「パワハラ防止法」の他にも、会社には「安全配慮義務」があり、

会社は社員が快適に働ける職場環境を整備しなければならない

上記のように労働安全衛生法で義務付けられています。

こういった法律を理解せずに、その義務を果たさない会社では、安心して働くことができませんよね。

パワハラが起こる職場の共通点とは?

厚生労働省の調査によると、パワハラが起こりやすい職場の共通点として、以下のような特徴が挙げられます。

パワハラが起こりやすい会社の特徴
  • 残業が多い、休みが取り難い
  • 上司部下のコミュニケーションが少ない
  • 失敗が許されない・失敗への許容度が低い

これらの背景には、蔓延する過重労働や長時間労働があります

仕事量が変わらないのに、部署の人員が削減されるなどして、お互いをカバーし合う余裕がなくなってしまうのです。

みんな余裕がないので、社員同士で協力することができずに、責任転嫁したりいがみ合いを起こしてしまいます。

このようにして、パワハラが起こってしまうのです。

職場でパワハラ、そのときにできること

パワハラが起こってしまったとき、社員ができることもあります。

  • あいさつをする
  • お互いの話をよく聞く
  • 相互に理解し合えるように努める

上記のようなことを心掛けて、気持ちよく働ける職場にすることです。

そして自分がパワハラにあったときだけでなく、同僚がパワハラされたときも、見て見ぬ振りをせずに声を上げましょう

自分に正直に行動しないと、倫理観との乖離が進んでしまい、人は精神状態が不安定になるといわれています。

おかしいことに「おかしい」と声を上げることが、職場のためにも、自分のためにもなるのです。

会社を辞めるのが難しいときは「退職代行」もあり

基本的には、責任をもって退職の手続きを進めるべきですが、

  • 上司に相談しても拒否されてしまう
  • 周りの反応が怖くて言い出せない
  • 精神的に辛いのですぐ辞めたい

上記のように、どうしようもないというケースであれば、退職代行サービスを利用するのもひとつの方法です。

退職代行を利用するメリットとは?

退職代行とは、労働者本人の代わりに弁護士や代行業者が、会社へ退職の意思を伝えるサービスのこと。

退職代行を利用することで、

  • 精神的な負担を減らせる
  • 即日退職できる
  • 正当な権利を行使できる

上記のようなメリットがあります。

精神的な負担を減らせる

自力で退職を進める場合には、上司や同僚への報告、業務の引き継ぎなど、さまざまな手続きが必要です。

退職理由に関して、周りからの理解が得られそうにない場合は、

  • 強い引き留めにあう
  • 嫌がらせを受ける

このようなリスクもあるでしょう。

しかし、退職代行を利用すれば、労働者本人は会社と直接やりとりをする必要がありません

代行業者が手続きを淡々と進めるだけになるので、精神的な負担を大幅に軽減できるでしょう。

即日退職できる

即日退職できるのも、退職代行を利用するメリットの一つです。

本来、民法上では、

正社員は退職を申し出れば、2週間後に辞められる

ということが定められています。

民法第627条
1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

出典:Wikibooks

しかし、実際には、

繁忙期は避けてほしい

後任が決まるまで待ってほしい

このような会社都合の理由で、退職日が先延ばしにされてしまうことも少なくありません

退職代行を使う場合は、退職までに必要な2週間の期間を有休消化や欠勤扱いとすることで、

退職代行が会社に連絡した日から会社に出社しない

という対応が可能になります。

ハラスメントを受けている場合や、体調が悪化している場合など、

1日でも早く会社を辞めたい…

という場合には、心強い味方になってくれるでしょう。

正当な権利を行使できる

最近では、弁護士や労働組合が退職代行サービスに乗り出すケースも増えているので、

  • 残業代の未払いがある
  • 有休消化を拒まれる

といった労働問題に対しても、代理人として責任をもって対応してもらえます。

退職代行を依頼すると費用が発生しますが、初回相談は無料です。

会社側への交渉ごとがある場合も、対応可能かいちど相談してみることをおすすめします。

おすすめの退職代行3選
  • 安さで選ぶなら
    民間企業が運営。業界のパイオニアが最安値に挑戦中。リピート割がお得。20,000円(追加料金なし)
  • 会社と交渉したい
    労働組合が運営。24時間365日いつでも相談OK。即日の退職連絡も可能。24,000円(追加料金なし)
  • 弁護士に任せたい
    弁護士法人が運営。弁護士退職代行の老舗。会社との交渉や請求、万一の訴訟対応もOK。55,000円~

退職代行を使っても大丈夫?

そうはいっても、「退職代行」と聞くと、

会社の同意がないまま、無理やり辞めていいのだろうか…

と思う人もいるかもしれませんね。

そもそも退職は、労働者に対して法律で認められている権利です。

何らかの理由で辞めにくいという場合は、

退職を阻害している会社側の対応に問題がある

という場合が多いのではないでしょうか?

退職代行を利用することに、負い目を感じる必要はありません。

今では、

  • 利用者の58%が30代以上、40代以上の割合は28%
  • 40代でも34.8%の人が、退職代行の利用を検討

上記のような調査データもあるくらい、年齢や会社規模を問わず、退職代行は幅広く利用されています

当サイトでも、実際に利用した人たちの体験談を数多く紹介しています。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

まとめ:パワハラはすぐに相談して解決を目指そう。ダメなら退職もあり

今回はパワハラの解決策を中心に、パワハラの法的な定義や、退職を検討したほうがよい判断基準などを解説してきました。

職場でパワハラを受けている場合は、今回ご紹介した機関に早めに相談して、解決を目指しましょう。

それでも解決できない場合には、退職もやむをえません。

あなたの心身を守るために、まずは動くことを試みてください。

この記事を書いた人

40代男性、山形県在住。4度の転職を経験し、現在の会社は40歳で入社。法務部・人事部での勤務経験を活かし、「転職者側」と「採用する側」の両方の視点を持って、皆さんの役に立つ情報を発信します。

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