転職したときには、誰かの業務を引き継いで仕事をすることになるわけですが、
引き継ぎがいい加減で困るんだけど…
こんな思いになったことはありませんか?
しかし、たとえいい加減な引き継ぎでも、業務を続けていかなければなりません。
引き継いだ仕事は自分の責任になってしまいますから、ヤケを起こさずに冷静に対処しましょう。
引き継ぎの質は、ほぼ前任者のクオリティだといえます。
あなたが前任者より質の高い仕事すれば、高い評価を得られるチャンスとなるはずです。
この記事では、仕事でいい加減な引き継ぎをされて困惑している方へ向けて、注意しておきたいポイントを解説しています。
これまで転職を7回経験してきた筆者の体験談にもとづいて、わかりやすくお話ししていますので、あなたの引継ぎ対応の参考にしていただけると幸いです。
転職先の引き継ぎがいい加減でも冷静に対処しよう
転職して新しい仕事を引き継ぐときに、
- 前任者の引き継ぎがいい加減
- 引継ぎの内容がわかりにくい
こういったことは珍しいことではありません。
とくに前任者がいい加減な人だった場合は、引き継ぎもいい加減になりがちでしょう。
しかし、いい加減な引き継ぎだからこそ、こちらは冷静に対処をするべきです。
引き継ぎ業務ができないレベルの人もいる
筆者の経験談ですが、あるメーカーに転職したとき、
という業務を、仕事のひとつとして引き継ぎしました。
ところが、驚くべきことに前任者は、小売店の担当者や関係者を把握していなかったのです。
業務を引き継ぐことが決まった段階では、
取引先のリストとかは作ってないんですけどね…
このような状態でした。
筆者は同じ業界に長くいましたので、そのありえない状況に、
こんなレベルで通用してしまうのか…
と愕然としたことを記憶しています。
そして引き継ぎらしい引き継ぎもなく、筆者が仕事を受け持つことになったのです。
筆者はイチから自分でリストを作成することになり、2年後に後任の担当者へ作成したリストを渡して、きちんと引き継ぎをおこないました。
引き継ぎがいい加減でも、ヤケを起こしてはいけない
たとえ引き継ぎに問題があったとしても、
なんていい加減なんだ…
このようなヤケを起こしてはいけません。
転職先でしっかりと評価を得ていくためにも、
自分の方が明らかにいい仕事ができるな!
というプライドを持って、仕事をしていくほうが建設的です。
いい加減な仕事の引継ぎをされている場合は、
前任者よりも質の高い仕事をすれば、自分の評価を上げるチャンスになる
上記のような捉え方をしましょう。
前任者を否定することは、周りには好まれない
前任者の引き継ぎがいい加減だからといって、
- 前任者を否定する
- 前任者に責任を押しつける
上記のような対応も避けたほうが無難です。
あなたが前任者を非難したところで、よほど酷い人で解雇されたとかでもない限り、
たしかにあいつは使えなかったからなぁ…
このように同意してくれる人は、ほとんどいないでしょう。
既存の人たちからすれば、あなたは前任者よりも新参者ですから、ほとんどの場合は前任者の味方をするはずです。
前任者のおかしいところを指摘しても、
おかしいと思うなら、君がもっと効率のよいやり方をすればよいのでは?
こんなふうに、自分の首を絞めることになりかねません。
引継ぎ資料がいい加減なときによくある注意点
引き継ぎ自体がいい加減なこともありますが、
なんだこの引き継ぎ資料は?いい加減すぎるだろう…
というケースもよくあります。
こういった場合は覚悟を決めて、イチから自分で資料を作るつもりでやるしかありません。
ただ、ちょっとだけ注意しておきたいことがあります。
変なやり方には何らかの理由があるケースも
引き継ぎ資料がいい加減だった場合は、
自分のやり方で新しいマニュアルを作成する
ということになるでしょう。
ただし、すべてを自分の考えだけで進めるのではなく、引継ぎ資料を参考にしながら、冷静に考えた方がよい内容もあります。
なんでこんなバカげた古臭いやり方しているんだ…
このように思えることでも、実はなにか理由があるのかもしれません。
たとえばExcelデータの入力で、全部のカタカナをわざわざ半角で打ってあった場合。
これは個人の好みで半角にしてあるわけではなく、全データがそうなっているかもしれませんし、
ということなのかもしれません。
また、ずいぶん古いやり方をしていると感じても、
クライアントの要望に合わせてそうしてるんだよ
という場合もあります。
一見すると変なやり方でも、何かしらの理由が存在している場合もあるので
すべてを新しいやり方に変えてしまうのは、リスクが伴う場合がある
ということを認識しておきましょう。
過去の業務でも、後任者の責任にされる場合がある
引き継ぎを終えたあとは、
前任者の仕事は、自分の仕事として責任を問われる可能性がある
ということを心得ておきましょう。
とても理不尽なことですが、ひどい会社の場合は、
- 前任者の不手際
- 過去のデータが間違っていた
上記のような場合でも、自分の責任にされてしまう場合があります。
過去データのミスは、当然ながら前任者の責任ですが、
何でも前任者のせいにするのもおかしいだろう
このように考える人もいるのです。
過去の資料を、すべて検証しなおすことは難しいかもしれませんが、
重要な部分だけでも、前任者が作成した資料も見直しておく
ということをおすすめします。
いい加減な引き継ぎを乗り切るためのポイント
引き継ぎがいい加減だった場合は、どのような対応をすればよいのでしょうか?
ここでは、自分でできる具体的な対応策についてご紹介します。
前任者がまだ退職していない場合は、連絡が取れるようにしておく
引き継ぎがいい加減だけど、前任者がまだ社内に残っている場合には、わからないことを理解できるまでしつこく聞いて、問題点を解明しておきましょう。
前任者が退職してしまう場合でも、
わからないことが出てきたら、お電話してもいいですか?
と了承を取っておくと、とても便利です。
筆者も急な退職をしたときに、
お電話すみません。ちょっと質問したいのですが…
こんなふうに、後任から何度も電話で相談を受けたことがあります。
経験者にとっては簡単なことかもしれませんが、後任者は初めて経験するので、戸惑うことも多いでしょう。
わからないことは、後からでも聞けるようにしておく
ということをおすすめします。
自分で引継ぎマニュアルを作成する
引き継ぎをしているときは、前任者と一緒に業務をやっているので、
なんとなく理解できたかな…
という感覚になっていることも多いでしょう。
しかし、実際に一人でやったときに問題が発生すると、
引継ぎマニュアルを見ただけではよくわからない…
こういったことがたくさん出てくるものです。
後から出た問題にもしっかり対処できるように、
- 引き継ぎをする段階で、仕事の流れや内容について整理をしておく
- 自分自身で引継ぎマニュアルを作成しておく
上記の取り組みを、引き継ぎ期間中に実施するようにしてください。
他人の作ったマニュアルよりも、自分で作ったマニュアルで確認するほうが、理解のしやすさが格段に違います。
マニュアルを作成する際は、フローチャートで図解にしておくとわかりやすいのでおすすめです。
引き継ぎが完璧だった場合は、あなたの腕が試される
前任者との引き継ぎが問題なく終われば、それに越したことはありませんよね。
スムーズに業務が進めば、あなたの仕事も評価されるというものです。
でも、ちょっとだけ気をつけておいた方がいいこともあります。
前任者が有能だった場合は要注意
前任者のレベルが低かったとき、あなたが前任者よりも仕事ができれば、自身の評価を高めることができます。
しかし、社内において、
前任者の○○さんは有能だったから大変だね
このように思われているときは、注意しなければなりません。
なぜなら、前任者のクオリティが高ければ高いほど、なにかと比較されてしまうことになるからです。
会社側は前任者と同等か、あるいはそれ以上のレベルを求めてきます。
しっかり頑張らなければ、なかなか評価を得られないでしょう。
とくに中途採用の場合は、即戦力として採用されるわけですから、
前任者よりも能力が低いな…
このように思われてしまうと、ピンチに陥ってしまいます。
有能だと思われていたけど、実はそうでもなかったとき
まれにあることですが、前任者は評価が高くやり手だと思われていたのに、
実際には、評判よりも仕事のレベルが低かった
というケースもあります。
筆者も過去に、
- 過去資料のファイリングがめちゃくちゃだった
- 同じ方法でできる仕事なのに、わざわざ別の方法で処理していた
上記のようなことに遭遇して、
いったいどんな仕事のやり方をしていたんだろう?
このような疑問を抱いたことがありました。
しかし、評判が良かった前任者を否定しても、あなたの株が下がるだけなので、とくにいいことはありません。
逆にいうと、あなたのレベルが高いということですから、前任者を否定することなく、
というのがおすすめです。
評判がよかったものを下げるより、評判がよかった人を超える仕事をしていれば、おのずとあなたの評価は高まっていくでしょう。
引き継ぎ後に問題が発生した場合の対処方法
引き継ぎがうまくできたかどうか関係なく、仕事を引き継いだあとに問題が出てくることはよくあることです。
ここでは、よくあるケースと対処法についてご紹介します。
前任者が意図的に問題を隠していたとき
業務を引き継いで仕事を始めてみると、
前任者が問題を隠していた
という場面に遭遇することがあります。
前任者が問題と思っていなかった軽いものから、
これはバレたらやばいから、意図的に隠していたんだろうな…
というレベルのものまでさまざまです。
明らかに会社の不利益になるような問題であれば、早めに上司に報告しましょう。
まずは「相談」という形をとるのがよいかもしれません。
そのまま問題を隠し続けるのはNGです。
隠していたら、あなたのせいにされてしまいますよ。
時間が経って会社に発覚したときに、
気がつきませんでした…
と言い逃れしたところで、
君の能力が足りないから見つけられなかったのでは?
このように思われてしまうだけです。
取引先の不満を、前任者が抑え込んでいたとき
営業部などの引き継ぎで起こるケースとして、
クライアントの担当者が替わった途端に、先方から問題や不満が続出してくる
上記のような場合があります。
このケースでは、以下の二種類のパターンがあります。
- 前任者が先方とそりが合わず、使えないと思われていた
- 前任者が強引な進め方をしていた
前任者とそりが合わなかったという場合は、担当が変わってあなたがうまくやれば、不満は解消されていくでしょう。
しかし、前任者が強引だったという場合は、ちょっとややこしくなる危険性があります。
前任者が強引で不満が出てきたということは、取引先の無理な要求を飲まずに、先方の不満を抑え込みながら回していたケースが多いのです。
たとえば、以下のような事例が挙げられます。
- 先方にとって都合がよくなるように、取引条件の見直しを迫られていた
- 先方からの「お願い事項」を抑え込んでいた
- 人的な応援や労働力の提供を要求されていた
こういった要求を抑え込んでいた場合、会社としては、前任者を「有能である」と判断していた可能性が高いです。
会社側の要求をクライアントに飲ませているわけですから、多少の不満が先方から出ていたとしても、
彼は取引先をしっかりコントロールできているな
という評価が与えられていたりします。
そして抑え込んでいたクライアントの不満は、担当者が替わったときに噴出してくるものなのです。
こういった場合の解決策としては、
ということが無難でしょう。
前任者から担当が変わってすぐに、取引条件を変えるとか優遇するというのも、逆におかしな話です。
担当者になったからには、積極的に解決していこう!
こういった気持ちになるのは理解できますが、だからといって、クライアントの肩を持つ言い方をしてしまうと、
君は相手の言いなりになっているのでは?
会社からはこのように見えてしまうので、注意が必要です。
まとめ:引き継ぎがいい加減だったとしても、あなたの対処を会社は見ている
今回は、仕事でいい加減な引き継ぎをされて困惑している方へ向けて、
- 引き継ぎがいい加減でも冷静に対処するべき
- 引継ぎ資料がいい加減なときにありがちな注意点
- いい加減な引き継ぎを乗り切るためのポイント
- 引き継いだ後に問題が発生した場合の対処法
といった内容についてお話ししました。
仕事の引き継ぎがいい加減だったとしても、ヤケを起こさずに冷静に対処しましょう。
引き継いだ限りは、今後はあなたが責任を持つことになりますし、あとで困るのもあなた自身なのです。
引き継ぎの際には最大限の注意を払い、
なにかあれば前任者に確認できるようにしておく
ということをおすすめします。
引き継ぎがいい加減だった場合、当面は大変かもしれませんが、
このような見方もできるのです。
また、引き継ぎがスムーズに進んだとしても、前任者が有能だった場合には、それ以上の能力が期待されるので手は抜けません。
いずれにしても、引き継ぎした前任者を否定するのはNGです。
うっかり非難したりグチを言ったりすると、自分の評判を落としかねませんので、くれぐれも注意してください。
中途採用で入社した場合、あなたは即戦力として期待されています。
しばらくは不満をグッと飲み込んで、まずは仕事に慣れることに集中しましょう。