サラリーマンであれば、「窓際族」や「閑職」といった言葉を、一度くらいは耳にしたことがあるでしょう。
出世ラインを外れた”窓際族”には、
- やりがいのない毎日
- 追い出し部屋などへの不条理な配置転換
このような仕打ちが待ち受けています。
ただし、閑職に追いやられる前には予兆がみられるので、対策しておけば回避することも可能です。
この記事では、サラリーマンなら知っておきたい「窓際族」という存在について、回避するためのポイントやなってしまった場合の対処法を解説しています。
ぜひご自身の状況と照らし合わせて、参考にしてください。
窓際族とはどういう存在なのか?
窓際族とは、出世ルートから外れて成果や責任を問われなくなったサラリーマンの総称で、そのポストは閑職(かんしょく)とも言われます。
窓際族(まどぎわぞく)とは、日本の職場において閑職に追いやられた、余剰の社員・職員を指す言葉。
安定成長期で円高不況時であった1977年6月の北海道新聞のコラムで製造ラインの管理職から外れて仕事も与えられず窓際に追いやられた中高年層がデスクで新聞を読んだり、外を眺めては時間を潰すという光景を『窓際おじさん』という言葉で載せた。
また1978年の1月に、日本経済新聞が新年連載「ニッポン・生きる条件」で、従業員の雑談中にあった言葉として窓際族を紹介している。
出典:Wikipedia
終身雇用が難しくなった現在では、「リストラ予備軍」といった言われ方も耳にしますが、いずれにしても、ネガティブな意味で使われることにちがいはありません。
過去には、窓際族を題材にしたドラマもありました。
1998年のTVドラマ「ショムニ」の中では、江角マキコ演じる「坪井千夏」が、閑職につきながらも、社内で奮闘する姿が描かれていました。
しかしリアルの窓際族は、仕事へのモチベーションが著しく低下した、「落ちこぼれ集団」と捉えられているケースがほとんどです。
閑職に追いやられてしまう原因とは
閑職に追いやられてしまう原因は、組織のなかでさまざまに存在しています。
- 仕事ができずに窓際へ飛ばされてしまう
- 上司に嫌われて追いやられる
- 失言や問題行動によって追いやれてしまう
- 業務上の失敗により左遷される
- メンタルに問題を抱えて閑職に就く
上記をご覧いただければわかりますが、
といえるでしょう。
本人の能力の問題で窓際に飛ばされるケースがある一方で、能力があっても上司に嫌われてしまい、閑職に追いやれるケースも少なくありません。
だからといって、上司に毎日ゴマをすることもモヤモヤしますし、悩ましいところですよね……
最近では、人間関係や過重労働によって、メンタルヘルスに悩む人が多くなっており、
閑職への配置転換を受け入れて、なんとか働き続けています…
こういったケースも珍しくないのです。
窓際族は中年サラリーマンの末期?
中高年のなかには、
窓際族なんて、サラリーマン人生の末期だよ…
このように捉えている方もいるでしょう。
確かに、20~30代の独身サラリーマンであれば、たとえ閑職に追い込まれたとしても、転職してキャリアを積み直すことができます。
しかし40代くらいになれば、
- 子どもの教育費
- 住宅ローン
- 老後の資金作り
こういったものに追われていて、そう簡単に転職に踏み切れるものではありません。
それゆえに、仕方なく”会社にしがみついている”というのが、窓際族の実状といえるでしょう。
サラリーマンにとって、
- 家族には話しづらい会社での立場
- みじめな気持ち
- 無気力な毎日
このような日々を送ることは、とても苦痛なことです。
なかには、やりがいのない毎日に心が病んでしまって、「うつ病」を発症してしまう人もいます。
しかし、努力することによって、
閑職から抜け出すことができました!
上記のような人がいることも、認識しておく必要があるでしょう。
たとえ会社からの期待や需要が低かったとしても、本人の気持ち次第で立て直せる可能性はゼロではありません。
窓際族や社内ニートは勝ち組ではない
「窓際族」は仕事のできない中高年を揶揄した言葉ですが、最近では同様のポストに就いた若年層を、「社内ニート」といった呼び名で扱います。
コンプライアンスが重視されるなか、些細なミスや成績が悪い程度では、会社が従業員を解雇することはできません。
こうした背景から、大企業ほど窓際族や社内ニートと呼ばれる人材が、多く生み出される傾向にあるのです。
窓際族や社内ニートは組織への貢献度が低く、会社の“お荷物”的な存在だといえるでしょう。
しかし、精神論や競争を嫌う若年層を中心に、
窓際族は、楽して安定した収入が得られる勝ち組だよね…
このように表現する人がいます。
彼らは閑職というポストを、
責任から逃れて、楽をして給料がもらえる
と捉えているようですが、現実はそんなに甘くはありません。
仕事は暇にもかかわらず、トイレや昼食以外での離席を禁止され、
毎日8時間、ずっとデスクに座りっぱなしだよ…
という状態は、相当に苦痛なものです。
最初は楽しかったネットサーフィンも、すぐに飽きてしまうでしょう。
また、会社は窓際族という存在をなんとかしようと、左遷や追い出し部屋といった手段で排除してくるはずです。
ここ数年では、AI(人工知能)などのテクノロジーが、ものすごい勢いで進化しています。
これまで窓際族がおこなっていた、雑務やルーチンワークなどが、
今後は一切不要!もうやらなくてよいです
こんなふうに、肩をたたかれる時代がもうそこまで来ているのです…
後から入社した若手に抜かれて、AIにも仕事を奪われてしまう閑職にいる人に、明るい将来は待っていないでしょう。
キャリア脱線がもたらす家族への影響とは
社内で閑職に追いやられて辛いのは、本人だけでなく家族も同様です。
たとえば「Yahoo知恵袋」には、稼ぎ頭が左遷されたことによる相談や悩みなどが、数多く寄せられています。
窓際族を取り巻く問題は様々ありますが、家族との関係悪化もそのひとつでしょう。
子どもの視点からみた父親の姿
子どもは成長とともに、親の仕事や働きぶりが理解できるようになります。
同級生の親が出世したと聞けば、
お父さんも出世しないの?
このように聞いてくるでしょう。
進学の際に学費に悩む姿を見せてしまえば、
うちって貧乏なの?
上記のような不要や悩みを与えかねません。
子どもが就職をすれば、親の社会的な立ち位置を理解して傷つくかもしれませんし、父親や社会に失望して、自らの将来にも不安を抱くことは避けられません。
旦那が窓際族という虚しさ
奥さまからしても、長年支えてきたパートナーが閑職になれば、
仕方ないのかな…
このように思いつつも、やはり虚しい気持ちにはなるでしょう。
バーベキューやスポーツ大会など、会社のレクレーションに参加する機会があれば、社内でどういった扱いをされているのかはすぐにわかります。
親同士との会話でも”旦那ネタ”は定番ですので、窓際族だと打ち明けらない気持ちに、一層モヤモヤすることでしょう。
将来への不安から離婚の可能性も
パートナーへの失望、将来への不安などが原因となって、最悪の場合は離婚に発展する可能性もあります。
一定の給与が保証されているのならまだしも、閑職に就いて残業が減らされれば、収入減は避けられないでしょう。
パートやアルバイトに出る必要があるかもしれません。
不慣れな家事や子育てにオロオロしていれば、パートナーのストレスはさらに悪化、家庭内での立場を失ってしまうケースも考えられます。
要注意!窓際族への予兆とは
窓際族に追いやられるときは、
ある日とつぜん、上司に肩をたたかれる
このようなケースはあまりなく、前触れとしていくつかの予兆があります。
もし以下のような変化を感じたら、自身の言動を省みる必要があるかもしれません。
雑務ばかり頼まれるようになった
こうなったら危険信号です。
事業への貢献度が低いと判断されたあなたは、会社での成長に見切りをつけられているかもしれません。
これって正社員がやらなくてもいいのでは?
そんな雑務が回ってくるようになったら、早々に対策を講じる必要があります。
上司や周囲の人が急によそよそしくなった
仕事中やアフター5などに、これまでは活発にコミュニケーションしていた上司や周囲の人間が、急に距離を取るようになったら要注意です。
周りの態度が急によそよそしくなった気がする…
このようなときは、近い将来に異動人事が発令される可能性があるのかもしれません。
明らかに仕事量が減ってきた
○○君に任せても成果が上がらないな…
会社がこのように判断すれば、仕事量を一気に減らしてきます。
昨今どの業界も人手不足とはいえ、会社は利益を出してこそ、存続させることができるのです。
低すぎる処理能力や言い訳ばかりの働きぶりでは、多くのタスクを任せることなどできません。
忙しさから一転して、自分に回ってくる仕事量が明らかに減ってきた場合は、それは窓際族の予兆だといえるでしょう。
いきなり引継ぎを任命される
突然、引継ぎを任命されるケースは要注意だといえます。
来週から一週間で引継ぎをよろしくね
得意先への挨拶と案内も忘れないように!
上記のように、あきらかに引継ぎ期間が短く、詳細な目的が知らされない状態であれば、覚悟しなくてはなりません。
いちど“ダメな社員“の烙印を押されてしまえば、社歴が長かろうと容赦なく後任人事が発令するのです。
スキル・生産性が問われない部署へ配置転換
これまでの技術職やスキルを活かした部署から、急にネガティブな部署へ配置転換される
これはもう窓際族への最短ルートといえるでしょう。
たとえ資格やスキルがあっても、
- 営業力
- クライアントとの交渉力
- コミュニケーション能力
このような、プラスαの要素をあわせ持った人材が現われた場合、ある日とつぜん窮地に立たされることもあり得ます。
- 任せられてきたプロジェクトから、突然外される
- 意図の見えない人事異動が発令
上記のような場合は、まさに警戒警報レベルです。
会社で窓際族にならないためにできること
部署内で孤立することも、ネガティブな部署への異動も、起こってしまってからでは手遅れです。
窓際族にならないために、今すぐできることはたくさんあります。
仕事への心構えを見直す
年齢とともに、仕事に対する謙虚な姿勢は薄れてくるもの。
とくに周囲が年下の社員ばかりになってくると、言葉遣いなども雑になりがちでしょう。
40代になったからといって、
今さら初心に戻るのは難しいよな…
このように考えているようでは、社会に淘汰されてしまいます。
丁寧な言葉遣いや元気な挨拶など、入社当時の気持ちを思い出して、仕事への心構えを見直しましょう。
現状に満足せずにスキルアップを図る
時代とともに、労働者に求められるスキルも変化してきており、もはやパソコンスキルは必須です。
グローバル社会においては、外国語が話せるようになれば、さらに活躍の場を広げることができるでしょう。
年齢を重ねてくると、
新しいことにチャレンジするのって、億劫になっちゃうんだよね…
こういった気持ちになりがちですが、そんなことを言っていては時代に取り残されてしまいます。
若手に差をつけられる前に、積極的にスキルアップを図りましょう。
人材としての価値を高めることでしか、仕事と生活を守る方法はありません。
積極的にアピールする
年功序列が崩れた現在では、勤続年数が長いことよりも、仕事への積極的な姿勢が評価されます。
頼まれたらベストを尽くします
このような待ちの姿勢では、やがて仕事を依頼されなくなるでしょう。
- 仕事を選ばない
- 自分から仕事を取りにいく
上記のような、攻めの姿勢がとても大切です。
もういい歳だし、そんなにガツガツするのもな…
こんなふうに恥ずかしがらずに、積極的に自分をアピールしていきましょう。
もし閑職に就くはめになったらどうする?
もしあなたが閑職に就くはめになったのであれば、まずは事実を真摯に受け止めたうえで、
なぜ自分が閑職に追いやられてしまったのかな?
という原因を探しまょう。
自分に思い当たる原因がある場合は、言動を見直す必要がある
原因が自分にある場合は、今後の社会生活のためにも、言動を見直して改めなくてはなりません。
人によっては、これまでは伝えてこなかった感謝の気持ちを、態度で示していくことも重要です。
- 指示通りの行動ができてきたか?
- ハラスメントなど問題行動はなかったか?
- 会社に対する批判的な言動はなかったか?
- 成績(実績)は他者と比較してどうなのか?
- ポストに見合うスキルや知識を保てているか?
仕事を取り上げられてしまったり、不本意なポストに追いやられたりと、起きてしまったのであれば、それを受け入れるしかありません。
所帯持ちの場合は、家族にも事実を隠さずに、きちんと話しておくことも大切です。
パワハラなどの不当な“仕事外し”であれば、客観的なジャッジを求めよう
閑職への異動が不当な人事だという場合は、素直に受け入れる必要はありません。
- 上司から無視される
- 明らかに周囲の人間と扱いが違う
- 明確な理由もなく、担当を外された
- 自分だけ業務に関する連絡をもらえない
上記のようなケースはパワハラに該当する可能性がありますので、周囲の人間に相談するか、公的機関に申し出ましょう。
会社の意志ではなく、上司による感情的な人事であった場合は、事態を覆せる可能性があります。
不毛な争いは避けて、転職した方がいいのかな…
このように考えるのもひとつの方法ですが、客観的な視点でジャッジしてもらってからでも、転職という判断をしても遅くありません。
閑職になった場合の過ごし方について
いろいろ対策を打っていても、
閑職に就いてしまうことになった…
このような場合もあるでしょう。
もしあなたが閑職についてしまった場合は、以下のポイントを押さえて、毎日を過ごすことを意識してください。
持て余す時間を有効に活用しよう
閑職についてしまうと、出勤から退社までの時間を持て余すようになるでしょう。
自主的に仕事を探さなければ、
やることがまったくないんだけど…
といったケースも珍しくありません。
かりに仕事があったとしても、
- 消耗品の発注
- 在庫管理
- 社内清掃
上記のような雑務が中心です。
スマホやパソコンでネットニュースを眺めているうちに、一日が終わってしまうこともあるでしょう。
窓際族ばかりが集まる部署では、自らの立ち位置に焦燥感を示すような人間はほとんどおらず、モチベーションは下がる一方かもしれません。
そんな環境で過ごすうえで大事なことは、
腐らずに閑職を抜け出すための行動する
ということです。
業務経験と実績を積み上げる
実際に閑職に就くと、驚くほどの自由な時間があることに気付きます。
仕事に追われて、残業続きだったのに…
こういった日々からは想像もできないほどです。
窓際族が集まる部署であれば、会社のなかの無駄な仕事や仕組みが、いくつも転がっているのではないでしょうか?
そういった仕事から問題点を抽出し、自由な時間を使って改善策を立案・実行することで、仕事の実績を積み上げることができます。
仕事を効率化してしまうと、
自分たちがより暇になってしまうのでは…
このように考えがちですが、暇な部署を抜け出すためには、積極的な取り組みが必要です。
ライバルがいない環境のなかで、経験や実績を積めることが、閑職のメリットといえるのかもしれません。
スキルアップや資格取得の勉強をする
自由な時間を有効活用して、どこの現場でも活かせるマルチなスキルを身に付けることを目指しましょう。
MOS(Microsoft Office Specialist)や日商PCは、パソコンスキルが上がるうえに、転職する際にも役立ちます。
また、VBA(Visual Basic for Applications)も、非常に価値のある資格です。
VBAはプログラミングの分野ですが、日報作成やデータ集計など、日常的に使用するExcelシートを扱いやすいように調整するスキルが身に付きます。
パソコン関係であれば、仕事中でも勉強できますし、自宅のPCでもじっくり取り組めるはずです。
暇な時間をチャンスと捉えて、積極的に行動しましょう。
副業を始めてみる
自由な時間を活用して、副業を始めてみることも賢い方法です。
もちろん、自宅で取り組むことが前提となりますが、基礎知識を身に付ける程度の勉強であれば、就業中でも行うことができます。
しっかり取れる昼休憩の時間や定時上がりできるメリットを活かして、副業での収入アップを目指しましょう。
働き過ぎで身体を壊しては意味がありませんので、フルタイムで働いているのであれば、副業や身体への負担が少ない「在宅ワーク」がおすすめです。
今まで気づかなかった才能に出会えば、「個の時代」へ変化していくなかで、成功の波に乗れるかもしれません。
在宅ワークには多様な種類があるため、ぜひ以下の記事を参考にして、自身に合った副業を探してみましょう。
キャリア復帰が難しいのなら、転職することも考えよう
ご紹介した対処法を実践しても、状況が変わらないようであれば、それは転職を考えるときかもしれません。
どうしてもいまの職場で解決できる方法がないのなら、違った場所に身を置くことも検討してみましょう。
転職することで、新しい価値観を手に入れよう
働き方も多様化している昨今では、仕事より生活中心のキャリアプランを考えることも、珍しいことではありません。
「ライフワークバランス」という言葉が一般的になったように、
人生のなかで仕事をどの位置に置くのか?
ということは、自分で選べる時代になりました。
じつは筆者自身も、
仕事よりも家族との生活をもっと大切にしたい!
このような思いが強かったので、40代で転職を経験しています。
仕事へのやりがい・満足感を高めるためにも、筆者が実践した「副業ありきの転職」を検討してみてはどうでしょうか?
転職をすることで、
- 仕事と生活の比重を変えられる
- 副業でやりがいを追求できる
このような「新しい価値観」を手に入れることができますよ。
転職活動は計画的に進めよう
焦って転職活動を進めたことで、結局好きになれない仕事に就いてしまっては、問題の解決になりません。
ある程度の年齢となると、転職にはとくに勇気がいりますが、
上記のようなサービスを活用することで、リスクを最小限に抑えることができます。
長年同じ会社で働いていると、どうしても視野が狭くなりがちです。
しかし、世の中には、やりがいのある楽しい仕事も存在しています。
在職しながら転職活動を進めるなど、「計画的な行動」であなたの新天地を探してみましょう。
まとめ:窓際族からの脱却は今できる行動を示すこと
今回は、窓際族の予兆や閑職に就いてしまった時のリスク、窓際族にならないためにできることなどをお話ししました。
かりにあなたが40代でも、少なくともまだ20年以上は、労働者としての人生が残っています。
定年までの時間を充実させるのも、「つまらない」と嘆きながら無気力に過ごすのも、すべては「今これから」の行動にかかっているのです。
- 雑務ばかり依頼されるようになった
- 上司、周囲の人間が急によそよそしくなった
- 仕事量を減らされた
- いきなり引き継ぎを任命された
- スキル・生産性とは無縁の部署に配置転換された
これらはすべて窓際族の予兆です。
閑職に追いやられる前に、今できることを最大限に実践して、会社に価値を示せるサラリーマンでい続けましょう。
もし、いまの状況を変えるのが難しいのであれば、転職することも検討してみてください。