転職することを決断した場合、在職中の方であれば、退職手続きを進める必要があります。
一般的に転職先に入社する日は、内定となった日から45~60日後くらい。
- 業務の引き継ぎ
- 有給休暇の消化
- 引っ越しなど(遠距離の場合)
こういった事情もふまえると、時間的猶予はそれほどありません。
昨今では、企業側が人手不足の状況に陥っていることが多く、
退職を申し出たのに、受け入れてもらえない…
こんなふうに、現職企業から強い引き止めにあうケースも多いです。
引き留めにあうことが予想される場合には、
いつ、どのタイミングで、退職を申し出るのか?
ということを、事前にしっかり考えておきましょう。
ただし、企業側に社員の退職を拒む権利はありません。
退職の意向を無視されたり、嫌がらせを受けたりする場合は、振り回されることなく、淡々と退職手続きを進めましょう。
管理職として勤める会社を退職した、筆者の体験談も交えながら解説していますので、ぜひ参考にしてください。
退職する際に考えておきたいこと
退職手続きを進める場合は、まずは以下の点についてどう対応するのか、考えておきましょう。
- 退職時期をいつにするか?
- 引き継ぎをどうするのか?
- 有給休暇の消化をどうする?
それぞれのポイントをご紹介します。
退職時期をいつにするか?
退職時期をいつにするかによって、現職企業に影響が出る可能性があります。
以下のようなタイミングは、会社側が負担を懸念して反対されやすくなるので、なるべく避けるようにしましょう。
- 年度の初め:
組織体制が大きく変わる可能性がある - 繁忙期:
職場が忙しく引継ぎなどの負担が大きい
また、退職時期によっては、賞与など収入面にも影響が出る場合があります。
賞与をもらってから退職したい場合は、転職活動の開始時期をコントロールしておく必要があります。
退職時期を決めるためのポイントは、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
引き継ぎにどう対応するか?
退職するときに悩むこととして、
引き継ぎをどうしたらいいのかな…
という問題があります。
できれば、後任者に完璧な引き継ぎをして、心残りなく退職したいですよね。
しかし実際には、限られた期間のなかで、完璧な引き継ぎをするのは難しいことでしょう。
ある程度のラインをもって、引き継ぎ完了とするしかありません。
引き継ぎをする際に押さえておきたいポイントは、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
有給休暇の消化について
会社を辞めようと考えたとき、
有給休暇を消化してから退職したいけど、会社と揉めないかな…
と心配になる人もいるでしょう。
結論からいうと、退職時に有給休暇を消化することは、法的に問題ありません。
そして会社には、「有給休暇を取得させない」という権利は存在しませんので、原則として、退職時の有給休暇を拒否することはできないのです。
退職時の有給休暇に関しては、以下の記事で詳しい知識をまとめていますので、トラブルを避けたい方はこちらをご確認ください。
退職を伝える際の注意点
ここでは、会社に退職の意思を伝える際に、注意するべき点についてご紹介します。
退職する意向は、まず直属の上司に伝える
退職することを最初に伝えるべき相手は、会社の人事ではなく直属の上司となります。
本音の退職理由をそのまま語るのではなく、これまでお世話になったお礼とともに、
- 退職理由をポジティブなものに言い換える
- 退職する気持ちに変わりはないこと
- 引き継ぎをしっかり行う用意がある
上記をしっかり伝えて、理解してもらうように努めましょう。
たとえ強い慰留があったとしても、決意が固いことや、次の入社先が決まっていることなどを丁寧に伝えてください。
退職の伝え方については、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
退職願・退職届の書き方について
退職の意思を伝える際は、退職願や退職届などを会社に提出する必要があります。
しかし、書類を作成しようと考えたときに、
退職届と退職願で何が違うのかな?
初めてだから、どう書けばいいのかわからない…
このような悩みを持つ人もいるでしょう。
退職の際に提出する書類として、退職願・退職届・辞表の3つがあります。
それぞれの違いをまとめると、以下のとおりです。
- 退職願:
退職を会社にお願いする書式。上司に退職を相談後に提出する - 退職届:
会社に退職を通告する書式。いきなり提出すると、一方的できつい印象を与える可能性がある - 辞表:
経営陣が役職を辞する場合や公務員が辞めるときに使用する書式
会社でフォーマットを用意しているところもあれば、書式自由という場合もあるので、上司もしくは人事の指示を仰ぎましょう。
退職願・退職届の書き方やテンプレートについて、以下の記事でご紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
会社側が退職に応じない場合はどうする?
円満に退職するためには、退職の伝え方やタイミングなどが重要です。
しかし、最善を尽くしても、
後任が決まるまで辞めさせない!
このような強引な引き留めを受けることもあります。
なかには、退職の話し合いに応じずに、無視や嫌がらせをされることも…
ここでは、会社があなたの退職意思に応じない場合の対処法をご紹介します。
円満退社が理想だが、こだわり過ぎる必要はない
退職の意向を申し出たのに、
会社側が退職に応じてくれない…
実際にはこういったケースになることもあり得ます。
しかし、民法においては、
ということが定められているのです。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
出典:民法第627条
つまり、退職の申し出に応じない行為は、法の定めに従わないということ。
そのような会社が主張する「円満な退職」に、こちらが応じる必要はありません。
会社側に誠意ある対応がない場合は、円満退社という目標はいったん置いておき、以下の記事などを参考にして、自分優先で事態打開を図りましょう。
嫌がらせなどを受けても、気にせずスルーでOK
退職する意向を伝えた途端に、嫌がらせを受けるような会社も存在しています。
もしあなたの勤務先が嫌がらせをしてくるようだったら、
辞めようと決意したあなたの判断は正解だった
ということです。
そんな会社に振り回される必要はありません。
嫌がらせを言われても、できるだけ軽く受け流して、自分の利益を優先して行動しましょう。
会社から嫌がらせを受けたときの対処法は、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
辞めたくても辞めれないときは「退職代行」もあり
基本的には、責任をもって退職の手続きを進めるべきですが、
- 上司に相談しても拒否されてしまう
- 周りの反応が怖くて言い出せない
- 精神的に辛いのですぐ辞めたい
上記のように、どうしようもないというケースであれば、退職代行サービスを利用するのもひとつの方法です。
退職代行を利用すれば、会社への連絡などを代行してくれるので、
自分で直接話をすることなく、退職手続きを完了できる
というメリットがあります。
ただ、「退職代行」と聞くと、
そんな無責任な辞め方をしたらマズいのでは…
このように思う人もいるかもしれませんね。
しかし今では、
- 利用者の58%が30代以上、40代以上の割合は28%
- 40代でも34.8%の人が、退職代行の利用を検討
上記のような調査データもあるくらい、年齢や会社規模を問わず、退職代行は幅広く利用されています。
最近では、弁護士や労働組合が退職代行サービスに乗り出すケースも増えており、
- 残業代の未払いがある
- 有休消化を拒まれる
といった労働問題に対しても、代理人として責任をもって対応してもらえます。
退職代行を依頼すると費用が発生しますが、初回相談は無料です。
会社へ行かずに退職手続きを進めたい場合は、いちど相談してみることをおすすめします。
実際に使ってみた人のリアルな感想やおすすめの退職代行サービスについては、以下の記事でご紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
退職する当日の対応は?
退職が了承されたら、それ以降の手続きは淡々と進んで、退職日を迎えることとなります。
- 退職日当日にするべきこと
- 退職後のために会社で確認しておくこと
上記について確認しておきましょう。
退職日に備品を返却
退職日当日は、会社より預かっていた備品を返却します。
事前に指示はされるとは思いますが、以下のようなものは返却が必要です。
- 健康保険証
- パソコンや携帯電話、USBメモリなどの機器
- 会社から借りていた業務上の資料など
- 制服などの会社から貸与されたもの
- 社章や社員証
- 名刺
- ロッカーやキャビネットの鍵
- 前払い交通費や定期券など
退職の挨拶(例文あり)
忘れてならないのが、退職当日の挨拶(スピーチ)の準備です。
挨拶の内容は当日の気分で話すのではなく、事前に考えておきましょう。
退職日当日の挨拶で心がけるポイントとしては、
- 周囲がしらけるジョークは避ける
- 会社や人間関係など、批判的な内容は話さない
- 振り返りはそこそこに、2〜3分程度にまとめる
- 最後に、周囲を気遣うようなフレーズで締める
上記のようなことを意識しながら、ハキハキとした口調でゆっくり話すことです。
メモ(カンペ)を用意するなら、緊張しても話せるように、箇条書きで要点を書き出しておきましょう。
筆者の会社では、メールでも「退職の挨拶」を送っていたのですが、参考までに筆者が送ったものを文例としてご紹介します。
退職のご挨拶 【部署名 ○○】
○○の皆様
お疲れ様です。
私事で大変恐縮ですが、一身上の都合により〇月〇日で退社することになり、
本日が最終出社日となりました。
本来であれば直接ご挨拶をすべきところですが、
メールにて失礼いたします。
〇年〇月に入社して、はや〇年ほどの月日が経ちましたが、
様々な仕事を経験させて頂きました。
これまで何かと至らぬ点もあったかと思いますが、
お世話になり本当にありがとうございました。
業務を通して多くの方々と関わり、
たくさんのことを学ばせて頂きました。
○○での貴重な経験を今後の人生に活かして、
励んで参りたいと思っております。
末筆ではございますが、改めて皆様の長年のご厚情に深謝すると共に、
皆様のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。
今まで本当にありがとうございました。
〇年〇月〇日
会社名
部署名
氏名
挨拶まわりと菓子折り
当日は時間を取って、お世話になった方々への挨拶まわりもおこないましょう。
菓子折りを渡すことが多いですが、必須というわけではありません。
ただ、お菓子を渡すタイミングで感謝を伝えるきっかけになりますし、好印象で最後を締めることができます。
退職日は手土産をたくさんいただくかもしれないので、持ち帰り用の手提げ袋などを用意しておきましょう。
会社から後日受け取るものは?
会社から返却されたり、退職を受けて発行されるものもあります。
通常は退職後に郵送で送られてくるのですが、念のためどのような形で受け取るのか、事前に確認をしておきましょう。
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 年金手帳
- 雇用保険被保険者離職票-1と2
退職手続き以外で、会社を辞める前にしておいたほうがいいこと
退職手続きとは直接関係ないですが、会社員をいちど退職すると、
これは退職前にしておけばよかった…
というものが存在します。
サラリーマンだからこそ優遇されていたり、申し込みの審査が通りやすい手続きもあるのです。
以下に該当するものなどは、退職前に手続きしておくことをおすすめします。
健康診断や体の悪いところを治療する
退職をしてしまうと行きづらくなるので、健康診断や治療などは、会社員のうちに受診しておきましょう。
筆者の場合は、念のため受診した歯医者で、虫歯があることが判明して治療しました。
退職後だったら、痛くなるまで行かなかったかもしれません…
生活費と貯蓄額を確認しておく(転職先が決まっていない場合)
転職先が決まらずに退職をする場合は、退職後の生活費と貯蓄額を確認して、
どれくらいの期間を貯蓄だけで生活できるのか?
ということを把握しておきましょう。
失業期間中は、健康保険や年金の保険料負担も増えますので、それも加味して考える必要があります。
失業保険を受給できる場合は、給付額や給付期間を調べておきましょう。
住宅の購入&ローンを組む
退職や転職後は、住宅ローンの申し込みで、審査に通るのが難しくなります。
これからの住居をどうしようかな?
ということを考えて、住宅購入を検討する場合は、退職前に住宅ローンを組んでおきましょう。
ちなみに筆者も、退職前にマンション購入をして引っ越しをしました。
クレジットカードやキャッシングカードに申込んでおく
クレジットカードやキャッシングカードの申し込みも、退職や転職後は審査に通るのが難しくなります。
すでに持っているのであれば問題ないですが、
カードを1枚も持っていない…
ということであれば、不測の事態に備えて申し込んでおきましょう。
療養のための退職なら、公的な給付金でお金の不安をカバーできる
心身が不調で退職するのなら、社会保険給付金(傷病手当金・失業保険)を活用しましょう。
傷病手当金は、医師による心身不調の診断が必要ですが、失業保険は要件を満たせば誰でも受給できます。
つまり最低でも3ヶ月は、今もらっている給料の50~80%が受け取れるということです。
また、傷病手当金と失業保険を組み合わせれば、最大28ヶ月も給付金が受給できますので、
お金の心配をすることなく、しっかり療養してから次のことを考える
という期間を確保することができます。
心身が不調なのであれば、給付金をもらいながらゆっくり療養しましょう。
しっかり休養できれば、次にいい仕事ができる準備が整いますよ!
ただし、公的な手続きなので、
という面があります。
もし手続きに不安があるのなら、社会保険給付金の申請サポートの利用がおすすめです。
まとめ:退職することを決めたなら、粛々と手続きを進めよう
会社を辞める際は、可能であれば、円満に退職手続きを進めるのが理想的です。
しかし、法で認められた「退職する権利」を踏みにじる行為があるのであれば、そんな会社に振り回される必要はありません。
自分のこれからの利益を優先して、粛々と退職手続きを進めていきましょう。
セカンドゴングは40代の転職を応援します!
セカンドゴングでは、40代の転職に特化した転職ノウハウについて、
- 実際に40代で転職を経験した人
- 企業の採用担当・キャリアコンサルタントなど、転職活動に知見を有する人
上記のようなメンバーが数多くの記事を提供しています。
40代のリアルな転職体験談なども数多くご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、セカンドゴングにノウハウを提供している転職サポーターが、あなたの転職活動をお手伝いします。
さまざまなサポートをご用意していますので、悩みがある方はお気軽にご相談ください。