会社を辞めようと考えたとき、
退職するときに有給休暇を消化したいけれど、会社と揉めないためにはどうすればいいの?
退職時の有給休暇を、会社に拒否された場合はどうしよう…
このように悩んでしまう方もいるでしょう。
結論からいうと、退職するときに有給休暇を消化することは、法的に問題ありません。
そして会社には、「有給休暇を取得させない」という権利は存在しないのです。
この記事では、退職するときの有給休暇の消化について、押さえておきたいポイントを詳しく解説しています。
筆者はかつて企業の人事部・法務部に在籍して、有給休暇のさまざまな問題を扱ってきました。
その経験談を交えながら、わかりやすくご説明しますので、ぜひ最後までご覧いただいて、あなたの悩みを解決するヒントにしてください。
やまもと社会保険労務士事務所
代表 山本 務
50代男性、東京都在住。大卒後はSE、人事労務業務に従事し、社労士試験合格後に50代で社会保険労務士として独立。元労働局総合労働相談員。労働相談、人事労務管理、就業規則、電子申請、給与計算が得意です。【特定社会保険労務士】
有給休暇についての基本知識
まず最初に、有給休暇についての基本知識をご説明します。
基本的なことを学んで、会社が正しい運用をしているかどうかチェックしてみましょう。
有給休暇の発生する要件と付与日数
有給休暇とは、一定期間以上を働いた労働者に対して、
心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するため
上記の目的で付与される休暇のことで、労働基準法第39条で認められた権利です。
その会社に入社して6ヶ月を経過した時点で、全労働日の8割以上を出勤していれば、有給休暇が発生します。
以降は1年ごと、前1年間の出勤率が8割以上である場合に、下表のような日数で有給休暇が付与されるのです。
◆有給休暇の付与日数
継続勤務年数 | 有給付与日数 |
---|---|
6ヶ月~ | 10日 |
1年6ヶ月~ | 11日 |
2年6ヶ月~ | 12日 |
3年6ヶ月~ | 14日 |
4年6ヶ月~ | 16日 |
5年6ヶ月~ | 18日 |
6年6ヶ月~ | 20日 |
ちなみに、契約社員・パートタイム・アルバイト・派遣社員の方でも、有給休暇は付与されます。
ただし、付与される休暇の日数は、労働する日数に応じて違っており、表にまとめると以下のとおりです。
◆パートタイムなどの有給休暇付与日数
週所定労働日数 | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 |
---|---|---|---|---|
1年間の所定労働日数 | 48~72日 | 73~120日 | 121~168日 | 169~216日 |
継続勤務が6ヶ月~ | 1日 | 3日 | 5日 | 7日 |
1年6ヶ月~ | 2日 | 4日 | 6日 | 8日 |
2年6ヶ月~ | 2日 | 4日 | 6日 | 9日 |
3年6ヶ月~ | 2日 | 5日 | 8日 | 10日 |
4年6ヶ月~ | 3日 | 6日 | 9日 | 12日 |
5年6ヶ月~ | 3日 | 6日 | 10日 | 13日 |
6年6ヶ月~ | 3日 | 7日 | 11日 | 15日 |
会社が持つ「時季変更権」とは?
会社は、社員の申請した有給休暇について「時季変更権」を持っています。
時季変更権とは、申請した日に社員が休んでしまうと、
事業の正常な運営を妨げてしまう
といった懸念がある場合に、休暇の日を変更できるというものです。
ただし、あくまでも「時季の変更ができる」という権利なので、休暇自体を拒否できるわけではありません。
会社が「時季変更権」を行使できる「事業の正常な運営を妨げる」場合とは、以下のようなケースを指しています。
- 会社が努力したけれど、代替となる人員がいない
- その日にどうしても本人がいないと、業務がストップしてしまう
たとえば年末などで、交代要員がいないほどの繁忙期だったり、社員のほとんどが不在といったケースでは、「時季変更権」の使用が認められます。
しかし、以下のような場合であれば、「時季変更権」を行使できません。
- シフトを変えれば、交代要員が確保できる
- 常に人手が足りていない
有給休暇の繰越と請求の時効について
社員が年度中に取得しなかった有給休暇は、次年度に繰り越されますが、有給休暇を請求する権利は2年で時効となっており、それ以降は消滅してしまいます。
年次有給休暇の時効は何年ですか。
年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅します(労働基準法第115条)。
出典:厚生労働省資料
また、退職や解雇によっても権利は消滅するので、注意が必要です。
たとえば、退職後に「有給休暇の買い取り」を会社に相談しても、権利が消滅しているため買い取りはできません。
有給休暇取得者への不利益な取扱いは禁止されている
有給休暇を取得した社員に対して、賃金を減額するなど、会社が不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
- 昇給のための出勤率算定
- 賞与の算出
上記などを計算する場合に、有給休暇取得日を欠勤として扱うことも、不利益な行為として無効になるのです。
ほかにも、
- 社員が届け出た有給休暇を与えない
- 正当な理由なく時季を変更させ、有給休暇を取得させない
- 社員が有給休暇を届け出していた日に、出勤を命じた
こういった対応をとった場合は、問題がある行為として、「違法」と判断される可能性があります。
違法行為と判断された場合には、労働基準法119条により「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。
退職時に有給休暇を消化しても問題なし
次に、退職時の有給休暇取得が「法的に問題ない」という点についてご説明します。
有給休暇の時季指定権は労働者にある
前述したとおり、社員が有給休暇を取得することは、労働基準法第39条で認められています。
社員が時季を指定して有給休暇を会社に請求した場合に、その日が年休日となるのです。
これを「労働者の時季指定権」と呼びます。
「時季指定権」とは、労働者が年次有給休暇をいつ取得するか、その時季を指定できる権利のことです。
日本では労働基準法に基づき、従業員に時季指定権が付与されています。
したがって従業員が本権利を行使して年次有給休暇を請求する場合、使用者は原則として従業員の指定する時季に有給休暇を与えなければなりません。
出典:日本の人事部
したがって、就業規則などで有給休暇取得について、「会社側の許可を必要とする」といった規定がある場合は、労働基準法上で無効となるのです。
有給休暇取得について、会社側の「許可制」とすることは法的にできません。
退職時の有給休暇消化は、会社の時季変更権で拒否できない
前項からもわかるとおり、
勝手に有給休暇を取得させない!
という権利は、会社側が持っているわけではありません。
ですから、退職予定者から有給休暇の申し出があれば、法律上は認めざるを得ないのです。
有給休暇に対して会社ができることは、「時季変更権」をもって、休暇の取得時期を変更させることだけ。
しかし、退職日を超えて時季を変更させることができないので、退職する際には「時季変更権」を使うことはできません。
事業の正常な運営を妨げる場合と判断されても、次の1~4の場合は、時季変更権は行使できないと解されます。
1.有給休暇が時効で消滅する場合。
2.退職・解雇予定日までの期間を上回る有給休暇を有しており、時季変更することが不可能な場合、事業廃止により時季変更権を行使すると、消化期間がなくなってしまう場合。
3.計画的付与により、時季が指定されている場合。
4.時季変更権行使により、産後休業・育児休業の期間と重なる場合。
出典:労働相談年次有給休暇と時季変更権|福岡県
社員から有給休暇を請求されたにも関わらず、取得させないということは労働基準法違反となるため、事業主や行為者は処罰の対象となるのです。
厚生労働省や労働局においても、会社としてできる最善策として、
上記のような説明をしています。
Q.退職間際の労働者から、残った年休を退職日までの勤務日に充てたいといわれたら、拒むことはできませんか?
A.年休は労働者の権利ですから退職間際の年休の申請に対して拒むことはできません。
出典:厚生労働省 東京労働局「よくあるご質問」
実際上、退職前の業務の引継ぎなど必要がある場合は、退職日を遅らせてもらうなど、退職する労働者と話し合ったほうがよいでしょう。
引継ぎができなくても法的には問題なし
何らかの理由によって、
引継ぎまでは対応できません
ということを申し出ると、会社側からは、
引継ぎも十分せずに、有給休暇を消化するなんて…
こういった発言を受けるかもしれません。
社会人のマナーとして、最後まで責任をもって仕事をして、後任者にその仕事を引き継ぐべきです。
ただし、これはあくまでマナーやモラルの問題であって、法律的にはなんら問題ありません。
次の転職先でも、
退職する会社や取引先と付き合いがあるかもしれない…
という場合は、しっかり引き継ぎまでおこなって、なるべく円満に退職するのがベストです。
引継ぎ対応などを怠った結果、
周囲からの信頼を失って、今後に活用できるネットワークが狭まってしまう可能性がある
このようなリスクもふまえた上で、どのような対応を取るべきかを考えましょう。
有休消化中に転職先の入社日を迎える場合はどうする?
仕事の引継ぎなどが延びてしまい、
有休を消化中に転職先の入社日を迎えてしまいそう…
となってしまった場合、転職先に入社してしまっても問題ないのでしょうか?
このときにまず気にしなければならなのは、現職および転職先の企業において、
二重就職をして問題ないのか?
という点です。
会社規定で二重就職が禁止されていなければ、そのまま有給休暇を消化して問題ありません。
二重就職が禁止されている場合は、
- 転職先に入社日を延ばしてもらう
- 前職に有給休暇の買い取り交渉をしてみる
上記の対応が可能か相談してみましょう。
どちらも難しければ、二重就職になる期間の有給休暇を放棄するしかありません。
内緒にしていても、社会保険加入時に会社にわかってしまう可能性が高いです。
バレてしまうと、重大な社内規定違反となりトラブルになり兼ねませんので、放置せずに確認するようにしてください。
退職時の有給休暇消化を、会社ともめることなく進める方法
退職するときは、できるだけ円満に済ませたいものです。
退職時に有給休暇を消化するうえでも、できれば会社ともめることは避けたいところ。
会社とトラブルなく有給休暇の消化をするために、以下の4ステップを実践しましょう。
- あらかじめ有給休暇の残日数を確認しておく
- 有給休暇の残日数プラス1ヶ月前(管理職は2ヶ月前)には、上司に退職意思を告げる
- 引き継ぎや挨拶回りなどを済ませる
- 有給休暇の消化に入る
ひとつずつ、順を追って詳しく解説します。
あらかじめ有給休暇の残日数を確認しておく
まずは自分の有給休暇について、「あと何日残っているのか?」を正確に確認しておきましょう。
給与明細に残日数が記載されている場合も多いので、直近の明細票で確認してみてください。
残日数を確認できるものがなければ、総務・人事部門の担当者に確認してみましょう。
ただし、この際に「退職したい」旨を話すことはNGです。
上司に相談する前に周囲の人に話すことは、社内の統制を保てないうえに、上司の顔に泥を塗ることになってしまいます。
有給休暇の残日数プラス1ヶ月前(管理職は2ヶ月前)に、退職意思を上司へ告げる
たとえば、有給休暇の残日数が40日あり、土日が休みの会社に勤務していた場合。
有給休暇と土日の休みを合わせると、ほぼ2ヶ月の休暇となります。
そこで、有給休暇消化の2ヶ月に1ヶ月の期間をプラスして、退職希望日の3ヶ月前には、上司に退職意思を伝えましょう。
その際は、一方的に退職日を設定して伝えるのはNGです
自分の希望日を伝えながら、上司と相談して退職日を決めていきましょう。
あなたが管理職である場合は、さらに引き継ぎなどに手間がかかるかもしれません。
さらに1ヶ月の猶予を見て、4ヶ月前くらいに退職意思を告げるのがベストです。
退職の意思を伝える際に、
退職前に、有給休暇をすべて取得したいのですが…
ということを、忘れずに伝えましょう。
会社側に有給消化を拒否する権利はありませんので、繁忙期を避けて退職希望日を設定することで、トラブルなく手続きを進めやすくなります。
退職日が正式に決まった段階で、上司に退職願を提出して、有給休暇も申請しましょう。
引き継ぎや挨拶回りなどを済ませる
退職願が受理された後は、担当していた業務の引き継ぎに入ります。
すぐに引き継ぎが行われない場合は、業務内容をまとめた資料をつくっておくことで、スムーズな引き継ぎができるはずです。
内部的な引き継ぎが進んだところで、取引先など外部への挨拶回りを行います。
日常的な付き合いがあまりない取引先に対しても、挨拶状を出しておくと、今後なにかの縁で付き合いがある場合も、わだかまりがありません。
なお、退職日が決まらないうちに、社外に「退職する」旨を話すことは避けましょう。
退職に関するウワサが取引先に広がれば、
退職するかもしれない社員が担当では、信用できないな…
このように思われて、会社全体の信用問題に関わります。
総務部や人事部と退職関連の書類について確認して、必要な書類を受け取りましょう。
デスク周りを片付け、会社に返却するものは返却し、挨拶もすべて済ませてから休暇に入ることが理想です。
有給休暇の消化に入る
引き継ぎや挨拶回りがすべて済んだところで、有給休暇の消化に入ります。
やるべきことを果たしているので、安心して休暇に入ることができるはずです。
引き継ぎの状況によっては、休暇と引き継ぎ・挨拶回りを、交互に行うことも考えられます。
しかし、最初に上司への相談を余裕を持って行っていれば、日数的な余裕もあるはず。
有給休暇をすべて消化することができるでしょう。
最後まで「相手の都合」を意識することで、会社ともめることなく、有給休暇を消化して退職することができます。
退職時の有給休暇消化を、会社に拒否された場合はどうする?
有給休暇は社員の権利なのですが、会社によっては、
社員の権利なんて、会社都合より優先させるわけないだろ!
こういった間違った考え方を押し付けられる場合もあります。
会社に退職時の有給休暇消化を拒否された場合は、どのように対応すればいいのかを確認しておきましょう。
交渉に備えて、有給休暇申請の証拠を残しておく
有給休暇が拒否されたことを相談にいく際に、自分が有給休暇の申請をしたことを、証拠として残しておく必要があります。
口頭で申請しているだけでは、
いえ、そんな申請は聞いていません
このように、はぐらかされてしまう可能性があるので、証拠が残る方法で申請を行いましょう。
たとえば、
- 申請用紙をコピーしておく
- メールで申請する
といった形で申請を出しておけば、「自分は間違いなく有給申請を行った」という裏付けになります。
客観的に申請したことを証明する証拠がないと、
事前に届け出を受けていないよ
申請が無かったので欠勤扱いにしました
上記のような言い逃れをされてしまい、こちらが不利な扱いを受ける可能性も否定できません。
トラブル回避のためにも、「有給休暇の申請を出した」という確実な証拠を残しておきましょう。
社内窓口や労働組合へ相談する
退職前の有給休暇取得を申し出たのに、上司に拒否されてしまった場合。
- 社内コンプライアンス窓口
- 労働組合へ相談(加入している場合)
まずは上記のような窓口に相談してみましょう。
有給休暇の拒否は法的に問題があるということを、会社側に指摘したうえで、適切な対応を取るように動いてくれる可能性があります。
総合労働相談コーナーに相談する
社内で相談しても有給休暇を拒否され続ける場合は、労働基準監督署(労基署)にある総合労働相談コーナーへ相談に行きましょう。
総合労働相談コーナーは、都道府県労働局や各労基署に設置されている相談窓口です。
予約不要で無料相談することができ、
- 職場のトラブルに関する相談
- 解決のための情報提供
上記などの対応をワンストップで行っています。
前述したとおり、退職してしまうと有給休暇の権利はなくなってしまいます。
ですから、退職後に有給休暇のことで文句を言ってもどうにもなりません。
会社が有給休暇の消化を拒否している場合は、できるだけ早く総合労働相談コーナーに相談して、相談員の指示を仰ぎましょう。
有給休暇に関する会社独自のルールに注意!
これは余談ですが、「有給休暇取得の理由」を社員に書かせて、
という会社も存在しています。
ほかにも、就業規則で「1週間前までに申請すること」と規定して、
規則だから、3日前の申請では認められないよ
というような主張をする会社も…
どちらの例も、有給休暇取得の正しい要件ではないのですが、会社の有給休暇に対する理解は、このようにかなり低いものなのです。
会社から言われてしまうと、
そういうものなのかな…
このように思ってしまうかもしれません。
くり返しとなりますが、退職前に有給休暇を消化することに、法的な問題はありません。
権利を主張するために、自信を持って労基署に行きましょう。
トラブルになりそうなときは、弁護士に相談する
総合労働相談コーナーや労働基準監督署でも解決できないときは、代理人として労働トラブルを解決できる、弁護士に相談してみましょう。
弁護士に依頼すると費用がかかりますが、
会社側と折り合いがつかずに裁判になった場合も、代理人として引き続き対応してくれる
という点で安心です。
最近では、有休消化の拒否や残業代の未払いなどを含め、弁護士が退職代行サービスを行うケースが増えています。
退職代行に依頼すると費用が発生しますが、初回相談は無料です。
退職手続きに悩みがある場合は、いちど相談してみることをおすすめします。
退職代行を実際に使ってみた人のリアルな感想や、おすすめのサービスについては、以下の記事でご紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
有給休暇の買い取りは条件付きで可能だが、会社の義務ではない
有給休暇は、法に基づいて社員に与えられた権利です。
会社が有給休暇を買い取るという行為は、「社員を休ませない」ことにつながるため、本来は労働基準法違反となります。
会社がお金を払って有給休暇を買い取ることはできるのでしょうか?
有給休暇の買取りは、基本的には、労働基準法39条違反であり、許されません(S30.11.30基収4718号)。
なぜなら、有給休暇の趣旨は、賃金はそのままに、労働者に休暇を取得させて心身の疲労を回復させる点にあるからです。
有給休暇を買い上げてしまうと、労働者は休暇を取得し心身の疲労を回復することができなくなってしまいます。
出典:Yahoo仕事の法律ガイド「有給休暇の買取は合法か?違法か?」
ただし、以下の場合は社員の不利益とはならないため、会社が有給休暇を買い取ることが認められています。
- 退職する労働者が、有給休暇を使い切っていない場合
- 取得から2年が経過し、有給休暇の権利が消滅する場合
- 法律を上回る休暇日数を付与した場合
退職までに有給休暇を消化できないようなら、
有給休暇の買い取りはできないでしょうか?
と会社に相談してみることも、ひとつの方法でしょう。
ただし、有給休暇の買い取りは法的に決められたことではないので、会社が義務を負うものではありません。
あくまでも、会社が「好意で」行うことになりますので、会社が応じてくれなければそこまでです。
有給休暇の買い取り分については、税法上は退職所得扱いとなります。
税控除もありますので、もし有給休暇を消化しきれないときは、いちど会社に買い取りを交渉してみましょう。
退職時に退職者の有給休暇を買い取ることにより生じる所得に係る所得区分
退職時に支払われる金品で本来退職しなかったならば支払われなかったもので、退職したことに起因して一時に支払われるものは退職所得に該当します。
よって、法人が、従業員から買い取った、有給休暇残高も本来退職しなかったら買い取られるものではない故、当該金額は、退職所得に該当します。
出典:公益財団法人日本税務研究センター
まとめ:退職時の有給休暇取得は問題ない!余裕をもって上司に相談しよう
今回は、有給休暇の基本知識を確認しながら、
- 退職時に有給休暇を会社ともめることなく消化する方法
- 有休消化を会社に拒否された場合の対処法
上記についてお話ししてきました。
有給休暇は、法に基づいて社員に与えられた権利です。
たとえ退職時であっても、有給休暇は問題なく取得できますし、会社側は時季変更権で拒否することはできません。
ただし、できることなら、なるべく円満に退職したいものですよね。
会社ともめることなく退職するためにも、あらかじめ有給休暇の日数などをしっかり確認して、余裕を持って上司に退職の相談をしましょう。
あなたがしっかり休暇を取って、退職できることを願っています。